『silent』最終話「変わったもの、それでも変わらないもの」
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ステキな最終回
最終話 あらすじ
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ネタバレも含みます。
高校時代の回想から始まる。青羽紬(川口春奈)と佐倉想(目黒蓮)は、日直で黒板を消している。「紬」という名前が珍しいと言う想。何が珍しいの?と聞き返す紬。想は、名前と答えるが、納得がいかない様子で何度も尋ねるが諦める。その様子を見た想は、手招きをする。
現代に戻る。好きにならなければよかったと言ったままうつむいてしまった想に、泣きながら話しかける紬。付箋に自分の気持ちを書き「一緒にいたい」と伝える。想も付箋に書こうとするが、涙が出るばかりで何も書けない。そして、ペンを置いて紬宅を後にしてしまう。
紬宅を出ると、紬の弟・光(板垣李光人)と出くわすが何も言わずに去ってしまう。
そこに戸川湊斗(鈴鹿央士)が袋いっぱいのパンダのぬいぐるみを持って現れる。光が嘘をついて呼んだのだ。湊斗が何も聞いていないのに大丈夫だと話す紬。湊斗は何も聞かず、紬と想はお互いをちゃんと見ているが、紬は今の想のことをちゃんと見ているのに対して、想は紬の高校時代から変わらないところばかりを見ていると指摘する。
桃野奈々(夏帆)に呼び出された想は奈々に貸していた本を受け取る。何か言いたげな想に、奈々は「私たちはうつむいてたら優しく声かけてもらっても気づけないんだよ」と、今の紬をちゃんと見るように諭す。
紬は最後にもう一度話したいと想にLINEをし、想は一緒に行きたいところがあると答える。
約束の日、高校の教室で紬は待っており、想が現れる。うつむく想に、紬は黒板に言いたいことを書く。想は、紬が来ないと思ったと黒板に書く。そのまま黒板に書いて会話をし、2人はこれからも一緒にいることを選ぶ。
体育館に移動し、想に檀上で作文を読んでほしいと紬はお願いする。高2の時の朝礼で、想が作文を読む姿に恋に落ちた紬だが、想も檀上から紬の視線に気がついていて、気になっていたと初めて明かす。
そして、清々しい表情で高校を後にし、2人は手をつないで歩く。
想の実家に立ち寄り、想は何かを取りに行き、紬は母・律子(篠原涼子)と外で立ち話をする。母・律子は、想が楽しそうにしていることが嬉しいと話す。
想が取って来たのは、高校時代に使っていたiPodだった。イヤホンを紬に着けて、壊れていないか確かめてほしいと頼む。iPodからはスピッツの『魔法のコトバ』が流れてくる。壊れていなかった。
紬の弟・光(板垣李光人)は、妹・萌(桜田ひより)から手話の本を借りる。なぜ想に習わなかったのかと尋ねられた萌は、想の病気が分かってすぐ、独学で手話を学んだと答える。
帰京し、想は湊斗の元へ行く。心配そうに待っている湊斗に「大丈夫」と一言、想は声で伝える。湊斗は安心し、2人で笑い合う。
奈々は生花店に入る。バス停で、湊斗が待っていたバスから大きな花束を抱えた奈々が降りてくる。そのままバス停で話をし、「おすそわけ」だと言って、奈々は湊斗にカスミソウを分ける。
奈々は居酒屋で春尾に会い、おめでとうと言って花束を渡す。通訳士になったことのお祝いだと言うが、今さら?と春尾は驚く。会社近くにできた花屋に入って思わず買ってしまったと話すが、クリスマスだからお返しが欲しいと言って、奈々は春尾にハンドバッグをねだる。
紬がカフェで想を待っていると、湊斗がやって来る。そして、奈々にもらったカスミソウを紬に、おすそわけだと手渡す。紬は、雪の結晶みたいだと喜ぶ。
奈々は想を呼び出し、おすそわけだと言ってカスミソウを手渡す。
想は紬にビデオ電話をかけ、待ってるねと話す。
待ち合わせの場所で本を読んでいる想に、紬が声を掛けると、聞こえているかのように想は顔を上げる。そして、紬は湊斗にもたったカスミソウを想に手渡す。想は奈々にもらったカスミソウを持っており、2人で驚く。そして、カスミソウを交換する。
イルミネーションを見に行った紬と想だが、会話に夢中で全然イルミネーションが見れていない。それでもいいと2人で話し、想は紬の声は聞こえないけど、言葉が見えるようになったと喜び合う。何か言いたいことある?と聞かれた想は、首を横に振り、手をつないで歩く。しばらく歩き、立ち止まり、想は手招きをして紬に何か耳打ちをして紬は嬉しそうに涙を流す。
高校時代の回想シーンになり、冒頭のシーンに戻る。紬を手招きした想は、紬の耳元で何かをささやく。お互いに耳打ちし合い、楽しそうな2人。黒板に2人の影が映って、キスをしているように見える。
最終話のコトバ
想の見てる青羽って”高校生の紬ちゃん”で止まってんだよね。
湊斗の言葉。
一個だけ想って駄目だなって思うとこあって。
想の見てる青羽って”高校生の紬ちゃん”で止まってんだよね。
青羽の変わってないとこばっか見てる。
逆に、青羽はすぐ今の想のこと受け入れて今の想のことずっとちゃんと見てて。
ちゃんとお互いのこと見てるのに見てる時間だけ違ってる。
8年分ずれてる。
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なるほど!さすが湊斗!
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想はいつも嬉しそうに
「青羽は変わらないね」って言うもんね。
そういうことか!
昔の似ている誰かじゃなくて、今のその子をちゃんと見た方がいいよ。
奈々から想へのエール。
私と彼が上手くいかなかったのは聴者とろう者だからじゃないよ。
私がそう思い込もうとしてただけ。
昔の似ている誰かじゃなくて今のその子をちゃんと見た方がいいよ。
私たちはうつむいてたら、優しく声かけてもらっても気づけないんだよ。
見ようとしないとダメだよ。
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それは聞こえる人も同じかもね…。
耳聞こえないならこうだって決めつけた考え方しかできない方が、よっぽどかわいそうだよ。
第10話で、想のことを「かわいそうですね」と言った田畑くん。
紬がタワーレコードの社員になることについて、想は気にしないのかと問われ、田畑くんに返した言葉。
かわいそうだから?耳聞こえなくてかわいそうだから?
歌詞カード読みたいって言っても、タワレコ行きたいって言っても、音楽だから触れさせないの?
かわいそうだから?
そういう耳聞こえないならこうだって決めつけた考え方しかできない方が、よっぽどかわいそうだよ。
私もそうだったけど。
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紬も、想と向き合って変わったんだね。
春尾くんの良いところは、聞こえない人を可哀想だと思ってないところだよね。
手話教室の同僚(ろう者)から春尾が掛けられた言葉。
第4話で、「春尾くんって、僕たちにちょっと壁作るよね」と言っていたけれど、
「最近わかってきたよ。
春尾くんの良いところは、聞こえない人を可哀想だと思ってないところだよね」と。
そして春尾は、
思ってないです。
憧れる人もいるくらいです。
と答えました。
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奈々のことだね。
それでも今は一緒にいたい
高校の教室に、うつむいて現れた想。
一緒にいると辛いことがある。
きっとこの先も一緒にいれば辛いと思うことが増えていくと思う。
そのたびに、この前みたいに青羽に当たるかもしれないし、
次は、本当にもう会いたくないと思うかもしれない。
長く一緒にいれば青羽のまわりの人も巻き込むことになるし、それで青羽が傷つくこともある。
そういうこと青羽と会って話すたびに考えて、悩むことが増えて、一緒にいていいのか迷う。
それでも今は一緒にいたい。
分かり合えないことは絶対ある
紬の返事。
私も。
いつもゆっくり私にわかるように手話してくれるのすごい嬉しかった。
でも本当に言いたいことちゃんと言えてるのかなって不安にもなる。
佐倉くんがいたいこと全部言えるまで待つし、手話ももっと覚える。
受け取れるように頑張るから 伝えるの諦めないでほしい。
人それぞれ違う考え方があって違う生き方してきたんだから、分かり合えないことは絶対ある。
他人のこと可哀想に思ったり、間違ってるって否定したくもなる。
それでも一緒にいたいと思う人と一緒にいるために言葉があるんだと思う。
たぶん全部は無理だけど できるだけ分かり合えるようにたくさん話そうよ。
言葉にできないときは黙って泣いてもいいよ。
私も黙って、背中さするから。
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聞こえる人同士でも、大事なことは同じだよね。
言葉が生まれたのはきっと、想いの先にいる誰かと繋がるためだ
想が高2の時に読んだ作文。
第1話で、紬が「好きな声で、好きな言葉を紡ぐ人だった」と言い、恋に落ちた瞬間でもあった。
僕がこうして言葉への考えを文章にするように、
伝えたい相手によって、その思いによって、言葉はどんなかたちにも変わってくれる。
言葉が生まれたのはきっと、想いの先にいる誰かと繋がるためだ。
何かを楽しむことより、何かに傷つかないことを優先してほしかったの。
想の母の言葉。
何かを楽しむことより、何かに傷つかないことを優先してほしかったの。
でも、楽しそうなの見るのが、結局やっぱりほっとする。
楽しそうでよかった。
最終話 メモ
髪を下ろすヘアスタイルは「今の私を見て」の意味?
想と最期の話し合いに向かう紬。
あえて、髪をしばらずに、下ろしていくことを選びます。
紬が髪を後ろで束ねるポニーテールスタイルは、”高校生の紬ちゃん”の象徴なんですよね。
対して、髪を下ろしたスタイルは”今の紬”。
「恋に落ちた瞬間」は、同じだった?
紬が想に「恋に落ちた瞬間」となった高2の朝礼。
紬のリクエストで再現すると、壇上にいた想も、紬の熱い視線に気づいていたことが明かされました!
知ってるよ。
その時、青羽のこと知ったんだよ。
みんな興味なさそうで、早く終わらないかなって顔してたのに、
1人だけまっすぐこっちを見てる子がいて、ずっとその視線が気になってた。
遠目に見ただけだし、名前も知らないし、あの子は何組の誰なんだろうってずっと思ってた。
3年生になったら同じ視線を感じて、仲良くなったらあの作文ほしいって言われて、
やっぱりあの子は青羽だって。
だから、あの時いた場所知ってる。
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ロマンチック~!
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最終回のサプライズだったね!
あの青いハンドバッグは、春尾から奈々にプレゼントされるかも?
春尾に、花束をプレゼントした奈々。
クリスマスだしお返しがほしいと、無邪気にお願いする奈々。
「クリスマスプレゼント、何がいい?」と春尾に聞かれ、「ほしいハンドバッグがあるの」と答えます。
このハンドバッグは、第6話に出てきた青いハンドバッグですよね。きっと。
ショーウィンドウの中にある青いハンドバッグは、「好きな人と手をつないで声で話しながら歩きたい」という奈々の「叶わぬ夢」の象徴でした。
でも、奈々の夢を春尾が叶えるんですね。
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奈々と春尾先生に幸あれ!!
2人だけにはわかる『魔法のコトバ』?
全編通して、ことあるごとに流れていたスピッツの『魔法のコトバ』。
最終回でこんな使われ方をするとは!!
想と紬にとって、はじまりの歌だった?
高校時代、想が紬に告白するシーンはこんな感じでした。
イヤホンで音楽を聴きながら歩く想に、紬が駆け寄る。
紬:好きです。付き合ってください。
想がイヤホンを外す。
想:ん?何?
紬:あっ あ… 「何聴いてんの?」って言ったの。
想:ああ スピッツ。
紬:おお スピッツ。スピッツは知ってる。本当に知ってる。本当に好き。
想:うん 好き。
紬:あれ好き。『ハチクロ』のやつ。
想:うん 俺も好き。
紬: ねっ。
想:うん。
想:青羽。好き。付き合って。
紬:ん?
立ち止まる。
想:すーきっ。つきあって!
この”『ハチクロ』のやつ”が『魔法のコトバ』なんですよね。
しかも、この会話、『魔法のコトバ』を好きと言っているように見せかけて、想は紬を好きと言っている??
この後、紬の耳にイヤホンをつけて『魔法のコトバ』が流れてきて、初めて手をつなぐのです~。
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すごい思い出の曲じゃん!!
『魔法のコトバ』から『スカーレット』に?
現代の紬と想がお互いの気持ちを確かめ合ったクリスマスイブ。
想が実家から取って来たiPodで、紬に聴かせたのは『魔法のコトバ』。
そして、その次は『スカーレット』でした。
『魔法のコトバ』
魔法のコトバ 二人だけにはわかる
夢見るとか そんな暇もないこの頃
思い出して おかしくてうれしくて
また会えるよ 約束しなくても
『スカーレット』
離さない このまま 時が流れても
ひとつだけ 小さな 赤い灯を
守り続けていくよ
喜び 悲しみ 心ゆがめても
寒がりな二人をあたためて
無邪気なままの熱で
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これは…想から紬へのメッセージでは!?
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「壊れてないか確認して」と見せかけて、スピッツの歌を聴かせることで、紬に気持ちを伝えようとしたってこと?!
最後のシーンは、2人だけにわかる魔法のコトバなのか?
最後のシーンで、紬の耳元で何かをささやいた想。
その言葉を聞いた紬は嬉しそうに涙を流す…というシーンでしたが、この言葉はどうやら、高校時代にも2人で楽しそうにささやき合っていたんですよね。
何と言ったのかはわからないけど、第8話で、想が紬に「もう少しだけ待って 聞かせたいことあるから」と言っていた”聞かせたいこと”なのか?!
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何と言ったのかは気になるけど…
気になるけど…
感想:やっぱり、こんなドラマ見たことない!!
第1話で「唯一欠点は人に甘えられないこと」と妹に指摘されていた想。
最終回で、ちゃんと紬に甘えられましたね。
甘えられたというか、自分を開放して、他人にゆだねられるになったというか。
「青羽に当たるかもしれない」と言えて、「泣いてもいいよ」と言う紬を受け入れましたね。
つらくなって当たっても、泣いてもいい。紬が傷つくことがあってもいい。それでも、紬と一緒にいたいと言えたことに想の成長を感じました。ううう。
最終回、良かったです。
でも、ちょっと物足りない。
めめが「紬ー!」って叫ぶシーンとか、
それで感動して涙を流す紬とか、
雨の中を走って紬を追いかけるめめとか、
アツい抱擁とか、
この期に及んでもなお90年代っぽいわかりやすさを求めている自分に愕然としましたが、
最後までそういうドラマじゃなかったsilent。
まったく新しい感動を頂きました。
ラストシーン、何?!何て言ったの?!こんな幸福に満ちた謎を残して終わるラブストーリー、見たことないです。
最後の最後まで「こんなドラマ見たことない!」でした。
しかも、黒板に映る影がキスをしているように見える演出とは!!
う、美しい…。
直接的に描かずに、トキメキだけを残すとは。
現代人への挑戦のようです。
めめの笑顔が見たくて、silentの森をさまよった3ヶ月が終わってしまいました。
どうしましょう。
思えば、silentの森をさまようきっかけになったのは、第2話で「今は、青羽のこと泣かせない優しい人がいるの?」と聞いた時のめめの微笑みでした。
めめ…じゃないけど、めめにしかできないフワッとした優しい微笑み。
少し安心したような、少し残念なような。
最終回で、ちゃんと嬉しそうな笑顔が見られてよかったです。
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