7月になり、春ドラマが続々と最終回を迎えております。
2023年春ドラマウォッチングをほぼ終えて、心に残ったのは「人生は、合う人に会う。でいい」という言葉でした。
だが、情熱はある。
『だが、情熱はある』というドラマの話です。
お笑いコンビ・南海キャンディーズの山里亮太氏とオードリーの若林正恭氏の物語で、劇中の言葉を引用すると、友情物語でもサクセスストーリーでもなく、ほとんどの人にはなんの参考にもならない。だが、情熱はあるという話です。
そう、情熱!
情熱ってこういうことか!と思い知った3ヶ月でした。
2人を演じたのは、我が愛しのジャニーズアイドル・SixTONES(ストーンズ)の森本慎太郎くんとKing & Princeの高橋海人くんです。
いや、なんで山ちゃんと若林がジャニーズなのよ?なんでもジャニーズにやらせればファンが見ると思ってんじゃないわよ!!
・・・見るけどな。
慎ちゃんと海ちゃんへの母心が勝ちました。
お母さん、心配。
今をときめくあなたたちが、山ちゃんと若林の再現ドラマをやらされるなんて不憫だわ・・・。
しかし、それは杞憂でした。
彼らの再現度は凄まじく、イケメンなのにちゃんと山ちゃんと若林に見える!
いや、若林には見えない。見えないんだけど、若林だとわかる。
すごい!あなたたち、こんなこともできるのね。
彼らの売れない日々の焦りや不安、でもやめられない。
狂気と情熱は紙一重なんじゃないかと思うヒリヒリ感。
20代の頃の彼らを見ていると、2人とも到底売れるとは思えません。
途中、見ているのも辛くなってきて、お笑い好きの夫に若林はいつになったら売れるのかと聞いたら
「あと5年は無理や」
と言われました。
まじか。
春日の不思議
はじめの方は、慎ちゃんと海ちゃんへの母心100%で見守っていましたが、春日という存在の面白さに気づいてからドラマそのものにハマりました。
若林の相方、オードリー・春日。
春日、本当に変なやつなんです。
変すぎる。なんで裸?なんで敬語?なんでそんなに色々と平気なの?
常人には耐えられないような状況でも、春日は平気。
売れない日々でも楽しくて幸せで、芽が出ないからといってお笑いをやめようとはしません。
お金がなくても全然平気。
その態度に若林はイライラしつつも救われるのですが、見ている方もなんだか救われるのです。
売れる売れない、儲かる儲からない、成功するしない。
そんな座標軸は春日にはありません。
親鸞聖人の言うところの他力本願でしょうか。
春日は何もしない。他力によって生かされている。
他力に身を委ねるというお手本?泰然自若?
何らかの境地にいる人に思えてきますが、本当に何も考えていなくて、本当にうざったくなることも。
でも、ドラマの端に春日が映るだけで安心する。
春日、めっちゃ不思議です。
人生は、合う人に会う。でいい。
M-1グランプリで敗者復活から準優勝して売れっ子になった若林は、エッセイの連載をするようになります。
祖母、父を相次いで亡くした若林。
会いたい人にもう会えないという絶対的な事実が、会うということの価値を急激に高めた。
誰と会ったか、と、誰と合ったか。
もうほとんど人生は、合う人に会うってことでいいんじゃないかって思った。
誰とでも合う自分じゃないから、合った人に会えるように頑張る。
それが結論でいいんじゃないかなって思った。
だが、情熱はある 第11話より
「誰とでも合う自分じゃないから」というところが泣ける。
「合う人に会う」でいい。
若林はめんどくさい性格だけど、ちゃんと合う人に会えている。
この後すぐ、売れない時代から励まし続けてくれた先輩芸人が突然亡くなり、「合う人に会う」が染みるのです~。
足りない部分が光って、誰かを照らすのだ。
その若林の面倒臭さを「何か足りない」と注目し、魅力を感じたプロデューサーによって、同じく「何か足りない」山ちゃんと引き合わされた2人は「たりないふたり」という漫才コンビを組んで、劇場に立つことになります。
2人の足りない部分とは、社会性とか優しさでしょうか。
たりないふたりは、ダサ過ぎて他人には知られたくないようねたみ、ひがみ、嫉妬心をネタにし、いかに自分たちが足りていないかを感じさせるネタで笑いを取ります。
プロデューサーの目論見通り、足りない部分が輝きました。
その後、『たりないふたり』という深夜番組になり、2人に心酔する若者が現れます。
今をときめく大人気ヒップホップユニット・Creepy Nutsです。
まだ無名でくすぶっていた彼らは、山ちゃんと若林に感銘を受けて勝手に「たりないふたり」という曲を作ってリリース。
勝手にやっちゃうところが面白いし、Creepy Nutsの足りない部分でもあり、過剰な部分でもあり…。
だが、情熱はあるのです。
そして、活動開始から12年で、たりないふたりは解散します。
コロナ禍なので、解散ライブは配信。
最後は「あー、足りなくてよかった」で締め括られます。
足りないところがいい。
欠点も全部ひっくるめて、自分は自分で最高だと思える最高の結末です。
そして、サプライズでCreepy Nutsが登場。
2人への最大のリスペクトを込めて、即興ラップでこう歌います。
あなたたちが撒いた種
ここにいるぜ
画面の向こうにも何人もいるぜ
だから俺たちはこのままやり続けるだけ
ずっと前に若林とCreepy Nutsが初めて会った時、若林は自分たちのやっていることについて「こんなの誰に共感されるんだろう。誰に届くんだろうと思っていた」と話しました。
あなたたちが撒いた種
ここにいるぜ
誰かの情熱が、誰かの情熱に火をつけて連鎖していく光景が広がります。
Creepy Nutsさまさま?
そういえば、Creepy Nutsがいたから私はSnow Manに出会えたのだ!
息子の産後に実家で養生をしていた時、夫が『ミュージックステーション』を実家のHDDに勝手に録画していました。
そのMステにSnow Manが出ていて運命の出会いを果たしたわけですが、夫はCreepy Nutsが見たくて録画していたのです。
クリーピーがいなかったら、私がにわかジャニオタになることもなく、私の人生は180度、いや120度ぐらい?違っていたでしょう。
ってことは、たりないふたりが足りなかったからこそ、今の私がある?!
ああ、山ちゃんと若林が足りなくてよかった。
でも、2人とも成長するにつれて足りてきちゃうのです。
山ちゃんと若林はいろんな経験を経て、自信がついたり自信を無くしたり、相方とケンカしたりしながら、足りない部分が足りるようになっていきます。
持ち前の真面目さと情熱でどんどん面白くなっていきながら、社会性も優しさも身につけて人として大成長。
かっこいい。
最後、40代になってそれぞれに司会業などで忙しい山ちゃんと若林は、「あ〜漫才やりて〜」と心の中で思います。(相変わらず、素直に口には出せません)。
漫才師って、漫才が好きなんだな。
そんな当たり前のことに気づかされました。
ドラマでは薬師丸ひろ子さんが演じていたプロデューサーさん・安島隆さんが2023年9月に本を出されました。
私もこれから読みまーす!