2023年3月現在、TVerで『ロングバケーション』が配信されています。
ロンバケ!きゃー!
思わず見てしまいました。
放送当時中2だった私は、ストーリーはおろかセリフまで覚えていることに驚愕しました。
その時間、ほかにすることあったやろ・・・。
1996年当時の”正解”が詰まったロンバケ。
最先端だったなあ~。すべてがオシャレだったなあ~。電話までオシャレ~。
って、電話?
電話!イエデン!
イエデンの時代だったんですね。
あんなにときめていたロンバケですが、なんかピンと来ないというか、既視感。
既視感?
先日最終回を迎えたドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』になんか似てる・・・。
って、そりゃーそうですよね。
同じ脚本家、ラブストーリーの神様・北川悦吏子女史の作品ですもの。
ストーリー、キャラクター、セリフ、ドラマ全体に漂うオシャレな空気が『夕暮れに、手をつなぐ』っぽいんです。
というか、『夕暮れに、手をつなぐ』が『ロンバケ』っぽいんですよね。
『夕暮れに、手をつなぐ』は「古臭い」と酷評されていたそうなのですが、古臭いっていうかね、これが北川悦吏子なのよ。
あなたが思う”古い”の型を作った人ですよ。
歌舞伎と同じ。ラブストーリーの”型”なんですよと言いたい。
とはいえ、私だって『夕暮れに、手をつなぐ』第1話を見て、冴えない音楽家に婚約破棄って、まんまロンバケやん!と思いましたけども。
まだ『silent』の余韻に浸っていた2023年1月の国民に向けた、強烈なパンチ。
はあ?silent?
豆腐食って満足してんじゃねーよと、分厚いステーキをドーンっと出されたような感覚。
恋愛ドラマはこれだろっ!と、『silent』の世界でふわふわしていた脳天に、大御所・北川悦吏子のパンチを喰らいました。
『silent』の出会いは群馬の高校。再会したのは小田急線世田谷代田駅。デートはファミレスや自宅。男女とも自炊で、服も暮らしも質素です。
対する『夕暮れに、手をつなぐ』の出会いは、都会のデカい横断歩道。ぶつかって出会う2人。いきなり超高級ホテルの中華料理屋さんが出てきて、テーブルには高級食材。食事の相手は大手レコード会社社員。ファッショナブルで役職は横文字。スイートルーム。高そうな婚約指輪。デカい橋から身を投げようする。逃げる女、追う男。
聞けよ嫌よ聞けよ、知ってるわ?
疾走感と華やかさにクラクラします。
都民ですら現実味を感じない「大人になったら行ってみたい東京」。
流行りの言葉で言えば、どの世界線?
本音を言えば、『silent』最終回では「つむぎー!」って叫ぶ想とか、
雨の中をずぶ濡れで紬を追いかける想とか見たかったですよ。
紬と想の家の間に、踏切があったのは何のため?何のための遮断機よ!
遮断機が上がると、いるはずのない相手がそこに。会いたかった!とか無いのか?
わかりやすく愛を叫んで、振り返って涙を流す主人公がいてこその最終回。
もちろん、キスシーンのカメラワークは360°回転です。
かすみ草を交換して、あはは、うふふで終わるってなんだそれ。
ひそひそ話の影がキスシーンに見えるって?
何言ってんだ、隠れミッキー探しに来たんじゃないわよ。
いや、『silent』は泣くほど感動して、最終回はリアルタイム視聴の後、夜中に2回見直しましたけど、私が恋愛ドラマに求めているものって北川悦吏子の世界だったのだと気づきましたね。
あは。
そんなことを思っていたら!
『夕暮れに、手をつなぐ』の最終回は、わかりやすく愛を叫ぶ、走って追いかける、熱烈ハグ&美しいキスシーンがちゃんとありました。
さすが北川悦吏子氏!期待を裏切らない最終回でした。
しかも、携帯の充電がなくなったことによる”待ちぼうけ”と”すれ違い”も発生。
マフラーを置き去りにして「私はここにいた」と不在の在を見せつける手法。
昔の駅の黒板か!
探す男。走る。叫ぶ。振り返る。
これが令和で見られるとは!!
いや、普通、どっかで携帯充電するよね?コンビニ行きなよって、それじゃあドラマにならないじゃん。
普通のことをしたら、普通の話になっちゃうじゃん。
『silent』と『夕暮れに、手をつなぐ』。
みんな違って、みんないい。