何年経っても楽しめます
ドラマをリアルタイムで観ていた2003年当時、私はまだ学生でした。
約20年ぶりに観て、改めて面白い、ステキなドラマだなあ~と思うと同時に、新たな発見もありました。
20年ぶりに観た感想
2003年の日本がおもしろい
ファッションが古い
普通にガラケー
当たり前だけど、メイクやファッションも古い。
でも2000年代前半あたりの時代が私は好きです。
化粧品も、ピエヌとかテスティモの頃でしょうか?
なんか良いんですよね~
登場人物がみんなカワイイ
特に一番若い市川実日子ちゃん!学生なのに大家さんのゆかちゃん役が本当にかわいい。
ともさかりえちゃんの絆役も最高です。
私は亡くなった双子の姉・結役も好きです。第6話で、駆け落ちした結が幸せそうに恋人と生活する姿がなんとも2000年代初頭の美女感があってステキなんですよ~。
小林聡美さんもキョンキョンも浅丘ルリ子様も白石加代子さんももたいまさこさんまで!!
おもしろいに決まってる
「34歳」という絶妙な設定
20年前、ハタチそこそこの学生時代に見ていた「34歳」と、40代の今の私が見る「34歳」は全然違いました。
ドラマが始まってすぐの早川基子のどうしようもなさといったら…、え、こんな困ったヤツだったけ?と思いました。
ちょっと性格が悪いというか、だいぶこじらせている。
そんな34歳の早川基子が、「自立しよう!」と奮起する物語だったんだなと。
学生時代はそこに焦点を当てて見ていませんでした。
私も「結構(年が)いってるんだね」と初めて言われた年齢が34歳でした。
たまたまなのか、多くの人がそうなのかはわかりません。
34歳って急に、「まだ手にできていないもの」を突き付けられる気がします。
その「まだ手にできていないもの」が自分にとって必要なものなのか?そうでないのか?を考え始める時期なのかなあ。
早川基子にならなくて良かった。でも・・・
34歳で独身であることは、今よりも2003年の方が「珍しい人」扱いされていたと思う。
でも、2003年当時でもお見合いや社内結婚奨励システムも崩壊していて、結婚のしづらさは今と同じか、今以上に難しかったのではないか?と推察します。
早川基子自身は、ものすごく結婚したいわけでも、独身でいたいわけでもない感じがします。
特に何も考えず、流されるように、でもそこそこ頑張って毎日を過ごしているうちに34歳になっていたのではないでしょうか。
まあ、ちょっと相互依存気味な母娘ではあるけれど。
それが同期の馬場ちゃんが起こした3億円横領事件によって、「自分はどうやって生きていくのだ?」と、初めて自分に向き合うんですよね。
「ハヤカワ、遅いよ!」とつっこみたくなりましたが、こういう時期は人それぞれ。
大事なのは、自分はどうしたいのか?をちゃんと自分で考えてやってみることなんですよね。
ドラマの終盤で、お母さんから「独立記念」のおまんじゅうをもらうところはじんわりと感動しました。
良い母娘だな
信用金庫の描写がなんとも言えないリアリティ
「早川先輩、あしたから誰とお弁当食べるんだろ」
「どーする?うちのグループに入れてくれって言われたら」
という後輩たちの会話。
学生時代の私だったらなんとも思わなかったと思うけど、金融機関OLを15年経験した今は鳥肌が立つほどわかるこの会話…。
お昼を誰とどこで食べるか?ということが死活問題の人と、どうでもいい人に分かれるんですよね。
というか、昼休憩1時間の貴重さは学生時代にはわからなかった!
今なら放送禁止?怖いセリフ
白石加代子さん演じるお母さん、迫力でしたね~。
「あんたが結婚しないから、うちは不幸のどん底よッ!」(第2話)
「女はね、才能かおっぱいなのよ。どっちかがないと、大変なことになるのよ」(第7話)
ひどい…
現代なら「毒親」認定されそうですが、2003年当時はスタンダードな思想だったかもしれませんね。
でもここから、娘が独身のままで独立することを受け入れられるようになるのだから、よかったです。
教授の言葉
私がこのドラマにフォーエバーラブな理由は、第1話の教授の言葉だと思いました。
「アナタ、この世に、そんな女が居るとは信じられないって思いましたね、今。
それは違います。色々、居ていいんです。」
「私みたいな者も、居ていいんでしょうか?」
「居てよしッ!」
この「居てよしッ」が『すいか』なんですよね。
色んな人がいていいんだと思えるドラマ。
それは人の心を自由にします。誰かの期待に応えるためでもなく、社会的に認めれるためでもなく、変人扱いされずに済ますためでもなく、「自分はどうしたいのか」を考えてやりたいようにやる。
どんな人でも「居てよしッ!」だし、自分に対しても他人に対してもそう思える自分でいたいと思いました。
教授がカッコイイ…
悪い人がいない
信用金庫の上司・部長が引越し祝いをくれるというので、さんざん考えた結果、早川基子は誉めてほしいと、自分で考えたセリフを渡し、部長もそれに応えます。
「早川君、いつも真面目に仕事やってもらって助かってるよ。本当にありがとう。これからも頑張って仕事してくれたまえ」
素に戻った部長が「まいったなあ」と妻にもありがとうなんて言ったことがないと言います。
でも本当はハヤカワちゃんにもババちゃんにも感謝していた。
「馬場ちゃんみたいにもちゃんと今みたいに言ってあげればよかった。そうしたら、3億も使う事なかったのかもな」と3億円を横領した馬場ちゃんへの後悔をにじませます。
「部長って、人間だったのよお」と嬉しくてゆかちゃんに電話してしまう早川基子の気持ち…切なくなりました。
わかる。めっちゃわかる。
部長は人間じゃないと思っていた気持ち、わかる。
どうして人間じゃなくなっちゃうのでしょうね。
本当はお互いに人間同士だし、感謝しているはずなのに。
印象的な第3話
第3話に、ゆかちゃんのアイスキャンディーが当たり続けるエピソードがあります。
「やっとアイスにはずれが出た時の、あのホッとした感じ。やっと終わったぁという解放感。私は、そんなふううに一生を終えたいです」
「終わる」ってホッとするというこのエピソードが大好きで、20年間ずっと心に残っていました。
この3話では、早川基子が貯金箱を割る決意をします。
中学生の頃から貯めた100円玉が詰まった、大きなポリ容器をズルズル引きずって、「自分のカラを打ち破るような衝撃的な買い物」をする!と言って原宿を歩くのです。
人は貯金箱を割らないと自分を見つけられないんだよー、わかる!
と、40代の私は、34歳のハヤカワを全力応援、全面肯定して見てしまいました。
『すいか』は何年経っても楽しめる
『すいか』には、私が「いいな」と思うものが詰まっている気がしました。
ハピネス三茶が良いんですよね~
こんなアパートに私も暮らしたい。。
馬場ちゃんがたった3億円で手放してしまった「大事なもの」。
愛らしい、つつましい生活。
それがずしーんと心に響きました。
20年前は実家暮らしの学生だったけど、今の私は一応お母さん。
料理も掃除も家事全般好きじゃないけど、生活すること、今「ある」ものを大事にしようと思えました。