ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』が最終回を迎えました。


主人公2人にまったく共感できないのに、なぜか全話見てしまいました。
そして、結末にびっくり!
理想のカップル?
この『じゃあ、あんたが作ってみろよ』は、主人公の勝男が「化石男」で、元恋人の鮎美が「忍耐女」と呼ばれ、共に古い価値観にがんじがらめになっている元カップルがそれぞれに成長していく話です。
キーワードは、「価値観のアップデート」でしょうか。
勝男と鮎美は、大学のミスター&ミスの完璧なカップル。
勝男も”男として”仕事も順調、いよいよ結婚!という時に、鮎美が「別れたい」と言い出すところから始まります。
鮎美は、”男ウケ”が価値観の最上位で、揺れるピアスを装着し、好きでもない「甘いもの」を食します。
ある意味、超お似合いカップル。第一話では、終始、勝ち誇ったような顔のカツオが非常にウザい。
俺が正しい、俺はカンペキ。
エビちゃんOL?
私が20代だった頃は、鮎美のような女性には「エビちゃんOL」という称号が与えられて、めちゃカワでめちゃモテ至上主義の時代でした。
鮎美はそれを地で行っているわけですね。
世が世なら、鮎美はかなりスタンダードな女性だったはず。大正解のエビちゃんOLだったと思います。
私がなれなかった正解ですが、その「正解」に鮎美の心がついていけなくなった…というところが2025年のドラマだと思いました。
昔なんて、「自分を殺してナンボ」だったと思います。
自分が好きなものより、世の中に評価されるものの方が大事!
エビちゃんOLの時代だったら、超勝ち組として描かれていたであろうヒロインが、美容院で好きな食べ物を答えられなくて、「自分」を考え始めるなんて、びっくり!
人は変わる?
ドラマの主軸は、「男子、厨房に入らず」的な勝男が、料理をするようになったこと。
そして、自分が女性に押しつけ、自らを縛ってきた古い価値観をアップデートしていくところです。
正直、私は「こんなにうまくいくわけないよ」と冷たい目でドラマを見ていました。
エビちゃんOLの時代に「正解」になれなかった私は、そりゃあもうバッキバキに折られて2025年を迎えておるわけです。「価値観のアップデート」なんて無理でしょ…。
でも、最終回で、勝男のカワイイ後輩・南川が言ってくれました。
「人は変わることはない」と思っていたけど、勝男が変わった姿を見て、「人は変わる」と思えるようになったと。
なるほど~。
そういう見方もできるのか。
たしかに、勝男みたいな奴は一生、このまんまだろうなーと思っちゃいますよね。
その勝男でも変われた!というのは、希望かもしれません。
他人をコントロールすることはできないけど、いくらバキバキに折られてきたからといって「人は絶対に変わらない」なんて思う必要はないのですよね。
2025年のハッピーエンド
最後は、勝男と別れて、「料理で生計を立てる」(自分の店を持つ)という目標に向かって着実に歩き始めた鮎美。
世が世なら、いや、現代でも?超優良な結婚相手である勝男を振った鮎美を見て、『獣になれない私たち』のガッキーを思い出しました。
大手デベロッパー勤務のエリートで、神楽坂にマンションを所有している彼氏・京谷のことを振ったんですよね。
あの時は、私も「もったいないー!!!」と思いました。田中圭だったし。
思えば、京谷もちょっと勝男っぽかったな。
第一話の冒頭、個性的なファッションの菊地凛子様を見て、「誰にアピールしてるんだろうな。ああゆうのが好きな男ってあんまりいないと思うけど」みたいなことを言うんですよ。
で、彼女の晶(ガッキー)は、「自分が好きな服を着てるだけだと思うよ」と返すのですが、納得いかない様子。
女性が、男性の目をまったく気にせず、自分の好きな(ファッションの)自分でいる。
そのことが理解できないということは、「男性に愛される要素がある女性」のみが「女性」だと思ってるってことですよね…。
『じゃあ、あんたが作ってみろよ』は、間借りしたお店で、鮎美がメキシコ料理のお店を始めたところで終わりました。
そこに、友達が集まってきたところが、鮎美にとってのハッピーエンドなのだと思うと、本当に時代は変わったんだなと思いました。
男ウケ至上主義で生きてきた鮎美にとって、「自分のやりたいこと」「自分の好きなもの」「同性の友達」は、価値のないものだったと思うから。
勝男が自分で筑前煮を作るぐらいのパラダイムシフトだったんだろうなあ。
勝男も鮎美も全然好きになれないけど、おもしろかったです。













