「幸せな方の椅子」が本になった!

幸せな方の椅子

松山みゆさんが、『幸せな方の椅子 悲しみの底にいるときの心の舵のとりかた 』を出版されました。

一田憲子さんのサイト「外の音、内の香」で連載されていた『幸せな方の椅子』。
現在、私も連載させて頂いており、みゆさんとは4年前からのお付き合い♪尊敬しているお姉さまです。

2022年3月にコロナになった時は、こんな投稿をしました

書籍になるなんて…全世界、読んで読んで!という気持ちです。

「幸せな方の椅子に座る」という考えは、「どんな環境下に置かれても、自分の生き方は、自分で選ぶことができる」という考えにもとづいています。
それは、少し角度を変えて眺めてみると、「自分の人生がうまくいっていないことを、起こった出来事のせいにはできない」ということでもあります。

『幸せな方の椅子 悲しみの底にいるときの心の舵のとりかた 』(松山みゆ著)より

息子さんがまだ小学1年生だった時に、みゆさんの旦那さんはガンと診断されました。

私が初めてみゆさんと出会った当時、私の子どもは、上の子が保育園の5歳児クラスでした。
ほぼ、今の私と同じような状況で、もし、夫がガンになったら…?なんて、想像するのも恐ろしい。

子どもが小1ぐらいのお母さんって、ものすごく心細いものだと思います。
赤ちゃんだった子どもがどんどん大きくなってゆき、環境も変わり、常に未知の世界。
これまで培った知識や経験なんて何の役にも立たず、常に不安で、自信が持てない…。

そんな時期に、夫がガンになるなんて。
みゆさんの心細さを思うと、涙が出ます。

よく乗りこえられたなあ。みゆさんって、超人なの?と思うけれど、そんなはずはありません。
本を読んで改めて、みゆさんが普通の心細さを抱えながら乗り越えていったことがよくわかり、「幸せな方の椅子」に説得力を与えていると思いました。

みんなの本

旦那さんがガンと診断されたのが、東日本大震災のあった2011年で、亡くなられたのはコロナ禍…。
本になって読んでみると、この時代を日本で生きた人、全員に読んでもらいたい!という気持ちになりました。

それぞれに困難がある中、こんな風に過ごしていた人がいた。と知ることで、同時に自分のことも労いたくなると思います。

みゆさんと比べたら、私の困難なんて…と思う必要はまったくなく、「悲しみの底にいる時」というのは誰にでも訪れるもの。
その時の「心の舵のとりかた」として、幸せの方の椅子があるのです。

カワイイ本

鈴木久美さんによる装丁、福田利之さんの装画も素晴らしくて、みゆさんの柔らかい文章とマッチして、めっちゃかわいい~✧˖°
プレゼントにも最適
表紙だけでなく、本の中もかわいさで溢れているので、ぜひ手に取ってみて頂きたいです。

余談ですが、鈴木久美さん&福田利之さんのタッグによる表紙…実は『52ヘルツのクジラたち』と同じなのです。すご!

私の好きな椅子

この本には、みゆさんが作り出した色んな「椅子」が登場します。
その中でも私が一番好きなのは、「ちょっとご遠慮くださいの椅子」。

旦那さんの病気が発覚してから、何気ない日々の幸せを感じると、「この幸せがいつまで続くのだろうか」という不安や心配が襲ってきたといいます。
でも、幸せなままでいるのはどうしたらいいか?とみゆさんは考えました。
そうして、「Please do not disturb.」の札を心のドアノブにかけることを思いつきます。

そして「心配や不安」が、もとは自分の愛情から生まれているものだとしたら、それ自体が自分の心や人生そのものを形作っているものであって、自分を自分たらしめるもの。
真っ向から否定されるべきものでもありません。
ただ、そうした負の感情に、自分の人生の舵を渡してしまったらいけないというだけのことなのだと思います。

『幸せな方の椅子 悲しみの底にいるときの心の舵のとりかた 』(松山みゆ著)より

「ちょっとご遠慮ください」とお願いする相手は、自分自身!
なぜなら、まだ起こってもいない未来の心配や不安というのは、自分の心が生み出しているものだから。

この本が、いわゆる「闘病記」ではない理由は、こういうところにあると思います。
私は闘病はしたことはないけれど、震災に被災した経験があります。

日常のちょっとした幸せを感じる時、明日も、来週も、こんなふうに家族で笑って過ごせるかな?と少し不安になる気持ちがわかります。
それは、大地震で一瞬にして「日常」を奪われた経験があるから。

でも、その不安は、「もとは自分の愛情から生まれているものだとしたら」というみゆさんの言葉によって、見え方が変わりました。

そんな風に、読んだ人それぞれが自分のことに置き換えられる余白のある、発見と発明の数々⋆⁺₊✧

ぜひぜひ、自分も座りたくなるような椅子を見つけてみて下さい!

この本は、みゆさんにしか書けない、清らかで陽だまりのような言葉が散りばめられています。
あっという間に読めるのに、読み終わると、映画を一本観たような深い感動に包まれる…ノンフィクションです。

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