『ひらやすみ』と2025年

夜ドラ『ひらやすみ』、私はアマプラで一気に見ました!

はじめは、特に惹かれる要素がなく…
『ひらやすみ』って何?昼休み?サラメシ的な話?と思ったら、「平屋・住み」なんですね。
サラメシ、関係なかった!
主人公のヒロトとイトコのなっちゃんが平屋で暮らす日々の「ひらやすみ」。
それと、夢に挫折したヒロトの、人生のお休みもかけているのかな?

居心地わるいタイトルだなと思ったけど、秀逸!噛みしめてしまいます。

この『ひらやすみ』が、なぜ人々の心を打つのか?私はめちゃくちゃ2025年が詰まっているような気がしました。

ドラマに出てきた、阿佐ヶ谷の七夕祭り。

ナミじゃない、杉並?

『ひらやすみ』の舞台は、杉並区阿佐ヶ谷。

主人公が暮らす平屋は、JR阿佐ヶ谷駅から徒歩20分という設定です。

阿佐ヶ谷から20分歩いたら中野区では?JRより西武新宿線の方が近いんじゃないの?…という野暮な話はさておき。

杉並区はドラマになりますね。

というのも、現在、私がハマっているドラマ『ぼくたちん家』も杉並区善福寺が舞台です。

「井の頭アパート」のロケ地も善福寺!

『ひらやすみ』の平屋やその他ロケ地は千葉県だそうですが、ヒロトとなっちゃんが夕日を眺める歩道橋は阿佐ヶ谷のようですね。
ああいった大きな歩道橋から眺める夕日…というのは、中央線沿線の風情を感じ、ドラマになるな~と思います。

そう!中央線には風情があるのですよね。

なっちゃん

『ひらやすみ』で何が良かったって、森七菜ちゃん演じるなっちゃん!

第一話で、「美大合格おめでとう」と言われたなっちゃんが、「いや~美大なんて、ただのフリーター製造機らしいですよ」と目をそらしながら、嬉しそうに恥ずかしそうに言う姿に心を掴まれました。

そして、その後の振る舞いも「学生時代」そのもので悶絶しました。
こういう友達いたし、いや、私もこんな感じだったなと。
謙遜というか、自虐?「自分なんて〇〇っすよ」と自分を落とすライフハック。

漫画を描いていることがヒロトにバレて、「恥ずかしくて死ぬ」とか、スーパーでキャベツを選ぶヒロトに「全部キャベツ!」と言うところ、「なんでヒデキにあんないい奥さんがいるの?」とか、自分を見ているようでした。

私も、「恥ずかしくて死ぬ」って色んな事に思っていたなあ。
図太くなったのか、どうでもよくなったのか…。
たしかに、思い込みと自意識が過剰なのだけど、それが「若い」ということなのか?

なっちゃんを見ていて、茨木のり子さんの詩を思い出しました。

大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子供の悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい

「汲む Y・Yに」茨木のり子 より

なっちゃんには、そのまま大人になってほしいな〜と思わずにいられません。

なっちゃんがちょっとしたことで死にそうに恥ずかしがったり、飛び跳ねて喜んだりする姿に、私ももっと喜ぼう!と思いました。

友達ができないからと言って、大学から足が遠のいてしまったなっちゃんが、一念発起して登校したら出席者が少なくて「みんな、来てないじゃん」ってなるところも印象的でした。

「自分だけ」って思っていたことが、「みんな、そうかも?」と思えると一気に気持ちがラクになりますよね。

七夕のハリボテ。ドラマでは、吉岡里帆ちゃん演じるよもぎさんが、泣きながら残業して作っていましたね。

じゃあ、あんたが作ってみろよ

現在放送中で、大ヒットしているドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』。

この原作者(谷口菜津子さん)と『ひらやすみ』の原作者(真造圭伍さん)は、ご夫婦なんですよね。

すーごーい!

この『じゃあ、あんたが作ってみろよ』は、主人公のカツオが「化石男」で、元恋人のアユミが「忍耐女」と呼ばれ、共に古い価値観にがんじがらめになっている元カップルがそれぞれに成長していく話です。

キーワードは、「価値観のアップデート」でしょうか。

私はカツオにもアユミにも共感できませんが、毎回見てしまうんですよね~

世が世なら、アユミはかなりスタンダードな女性だったはず。大正解のエビちゃんOLだったと思います。
私がなれなかった正解なのに、その「正解」にアユミの心がついていけなくなった…というところが2025年の描き方なんだなと思いました。

「じゃあ、あんたが作ってみろよ」って、「他人が築き上げてきた、すべてのコンテンツに敬意を持て」というメッセージなのだと私は思いました。

批判するなら、「じゃあ、あんたが作ってみろよ」。

頑張っていた人

『ひらやすみ』最終週、ヒデキが放つ衝撃のセリフが、
俺はがんばってるのに、なんで怠けてるお前の方が幸せそうなんだよ」。

「幸せ」と「頑張る」には何の相関性も無いんですよね。たぶん。

嘘つきで見栄っ張りで、クズとまで言われれ、うんと年下のなっちゃんにも「ヒデキ」と呼び捨てにされるヒデキ…。

ドラマを見ていて、ヒデキに対しては「もうそんな会社やめちゃいな!」「そういう奴からは逃げるのみだよ!」と思えるけど、同じような状況に自分がいても、自分に対しては思えないんですよね。
明らかに、逃げるしかない状況なのに。

ヒロトがスマホを放り投げてくれてよかったですよね。
「次の日、ヒデキは会社を辞めました」って、小林聡美さんが言ってくれてホッとしました。

ヒデキを見ていて、このYouTubeを思い出しました。

ここでは、適応障害は環境によるものだと整理されています。

適応障害は、環境によるストレスだから、その環境から離れる一択!!
鬱病は,原因不明だけど脳の機能が落ちている状態。

心って脳なんですよね。ヒロトの行動がきっかけで、ヒデキは自分自身の脳を守ったのだと思いました。

「頑張る」と言えば、冒頭にお話ししたドラマ『ぼくたちん家』でもテーマの一つになっているように思います。

麻生久美子さん演じる楠ともえは、職場から3000万を横領して逃亡しているのですが。(『すいか』っぽい)!

その3000万は、生涯賃金における男性との「差」だと明かされます。
自分が女性だからと甘く見られて、もらえなかった3000万。
もしも男性だったら、もらえたはずの3000万。

そんな行動を起こす楠ともえの娘・ほたるは、お母さんはどんな人かと尋ねられて、「頑張ってる人って感じでした」と答えました。

頑張ってる人・・・。

そして、横領し、娘を置いて逃亡。
「自分は何も達成できなかった」と、子育てをする自信も無くしたともえが、逃亡しつつ、全国のご当地キーホルダーを集めるのですが。

ここでも、頑張っても報われないみたいなテーマが出てきました。

そもそも、『ひらやすみ』は、『団地のふたり』『幸せは食べて寝て待て』と癒しドラマ3部作ということになっているらしく?
「頑張って成功を掴みました!」とは真逆のストーリなんですよね。

頑張らないで幸せになる…という物語を人々は求めているってことなのでしょうか。

でも、流行語大賞は「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」なんですよね。

…ギャップがすごい!!(千鳥のノブで読んでください)。

67歳の高市さんは、働いて×5の頑張りが報われたってことのかなあ。

ま!頑張るも頑張らないも、人による!みんな、好きに生きようぜ!2025ってことですかね

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