【感想】『BUTTER』を読んで、「適量」を知る?

バター

遅ればせながら、小説『BUTTER』を読みました。

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なんで、「バター」なの?

小説新潮に連載されていたのは、もう10年前!
現在は、イギリスで翻訳本もヒットして、賞も贈られたというまさに世界的大ヒットの小説ですね。

ずっと気になっていたのですがなかなか手が伸びず、ようやく読めました。

タイトルが「BUTTER」って謎ですよね。
と思ったら、最初から最後までバターの話でした。

バターでこんな小説になるなんてすごすぎる!
でも、読んでいる最中も読み終わった後も、モヤモヤしました。。

問題が盛りだくさん?

色々思うところのある小説でした。
著書の柚木麻子さんとは年も近いし、登場人物たちが生きる「社会」は私も身に覚えのあることばかり…。
『ちびくろサンボ』の絵本は、幼稚園の時に何度も読みました。(まさか発禁処分になるなんて)。

しかし、主人公・里佳も、怜子(主人公の親友)も、カジマナ(木嶋佳苗死刑囚のような人)も、私は誰にも共感できません。。

カジマナは本当に殺人犯なのか?というミステリー部分が気になって、どんどん読んでしまいますが、一つ一つ立ち止まって考えたくなるような要素もたっぷり。

それは、「女性蔑視」というところなのですが、この本が世界中で支持されていると思うと…ツライ。(=_=)

適量を知るということ

作中に出てくる、「適量を知る」ことは、生きる上でのポイントだなと思いました。

自分にとっての「適量」を知ることって大事ですよね。

「適量」って、人それぞれ違うはずだし、体型も違っていていいはずなのに、適量を他人に決められたり、正解の体型があることのおかしさ…。

おいしいバターを敬遠して、痩身に励む女性を笑う、豊満なカジマナ…。
おいしいものを食べる方が良くない?!痩せてることの何がエライの?!と、高カロリーなグルメ大好きなカジマナに影響されていく主人公・里佳も、もともと極端に痩せている女性です。

そして、今まで食べなかったものを食べ、どんどん太ってゆき、自分にとっての「適量」を知るうちに、生き方そのものが変わっていく過程が面白いです。

結末はちょっと…

グルメ&ミステリー小説という感じで面白かったけど、結末はちょっと納得がいかなかったかな…。

でも、これはモデルとなった木嶋佳苗死刑囚の事件も、いまいちスッキリしないところで終わってるんですよね。
だから、やむなし?!

『BUTTER』を読んでから、私は、確実にバターの消費量が増えました!

良いことなのか?

カルピスバターや、エシレのバターに手を出したい衝動を抑えて、ひとまず、家にあるバターをせっせと食べております。

昔、パリに行った時に、モノプリ(スーパー)で、エシレやボルディエのバターをしこたま買って帰ってきたな~と懐かしく思い出しました。

『BUTTER』に出てくる食べ物の中で、一番食べたくなったのは、ウエストのバタークリームケーキです。

さようなら、地の時代?

描写の一つ一つが美しくて、小説を読んだ!という満足感を得られました。
(とくに「寒さ」の描写が秀逸だと思います)!

面白かったけど、モヤモヤする~。
この「モヤモヤ」は、見ないようにしていたこと、考えないようにしていたことの蓋が開いてしまったような感じかなあ。

『BUTTER』が支持されている他の国々でも、日本から見たら先進的かつジェンダーギャップがマシに見える国の人たちも、同じ苦しみや理不尽を味わっているのかと思うと、世界はまだまだ地の時代だなと思ったり。

思えば、木嶋佳苗死刑囚の事件があった時代、日本はエビちゃんOL全盛期だったのではないでしょうか。
「めちゃカワでめちゃモテ」が、若い女性にとって至上命題とされていた時代…。(だと私は思っています)。

木嶋佳苗という人は、めちゃカワになることも、めちゃモテになることも放棄して、手段を選ばずに自分の欲望を果たしていったという印象があります。

『BUTTER』を読めてよかったです。
もしも、自分の娘が読むとしたら、時代劇を見るような気持ちで読んで欲しいな~。
「昔の人の考えてることって、変なの~」と。
そんな世の中になってほしいと思いました。

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