「吹奏楽部の旅」でアドラー心理学を学ぶ?

吹奏楽の旅に感動

先日、初めて、『笑ってコラえて!』の「吹奏楽の旅」を見たのですが…

https://www.ntv.co.jp/warakora/articles/396t59smmz91z52z62s.html

めっちゃ面白くて、超感動!人気の理由がわかりました。

その場しのぎの仲直り?

冒頭に出てきた高校生、IちゃんとRちゃんのやり取りが泣けました…。

2人とも、小・中・高と吹奏楽をやっていて、中学時代は、それぞれの中学校で一番うまい人のポジションだったようで、高校では、Iちゃんがファーストトランペットに。

2人は高3になるまで、小さな衝突を繰り返し、その度に”その場しのぎ”の仲直りをしてきたそうです。

高3になった今年、演奏する曲には「ソリ」というソロが2人で吹くパートがあり、そこを吹くことになった2人は歩み寄ろうと模索します。

高3みんなが輪になって、現時点の問題点を話し合う中、Rちゃんは、「Iちゃんの方が技術が上だから」と引け目を感じていることを明かしました。

Iちゃんの方が技術が上だから、言いたいことが言えないと。
その結果、ぎくしゃくした関係になってしまったそうです。

そこで、顧問の先生が、
技術の序列は、人間の序列じゃない」と諭します。

「全国大会金賞の人が、地区大会銅賞の人より良い人なんてことにはならない」言い切り、それを作っていたのはあなた(Rちゃん)自身じゃないのかと声をかけます。

・・・アドラーだ!と思いました。

自分で序列を作って、相手を上に置いて、自分を下に置いて、「距離がある」「本音が言えない」と思ってしまう…。
それは、あなた自身が作り出したものだと。

Rちゃんがキラキラ輝けばいいだけの話。
先生は、そういうところが見たいだけだとおっしゃいます。

ううう、泣ける( ノД`)
いい先生だなあ。

そして、この言葉を素直に受け止めたRちゃんは、翌日からの合宿で、Iちゃんとぎこちないがらも距離を縮めることができて、「こんなにラクになるんだ」と安心した様子。

それはIちゃんも同じで、話し合ったことが「めっちゃよかった」と晴れ晴れとした顔で話してくれました。

そうなんだよねええ
本音で話すって大事。
「知る」ことで8割解決するんだよね。それが難しいんだけども。

突然、吹けなくなる。

ここから地区予選が始まるわけですが、ファーストトランペットで、技術も上と言われるIちゃんの調子が上がりません。。
演奏後に、「全然ダメ」と涙を流すIちゃん。

先に、Rちゃんの目線を通して、本音が言えないほどスゴイ人に見えていたIちゃんが、うまく吹けなくなる様子がなんとも言えません。
こんなにスゴイ子でも、こんなことってあるんだなあ…。

朝ドラ『カムカムエヴリバディ』で、トランペットが吹けなくなったジョーを思い出しました。

都道府県大会が3週間後に迫る中、再び合宿が行われますが、Iちゃんの調子は相変わらず。

合宿初日の練習後、顧問の先生に呼び出されたIちゃんは、今の気持ちを聞かれ、「もう吹きたくない。合奏にも出たくない」と本音を明かします。

先生は、「よくぞ言ってくれた」と受け止め、ご自身が同じように、突然ピアノが弾けなくなった学生時代のことを話してくれました。
がんばって、がんばって、練習していたけど、「ピアノの蓋が開かなくなった」と。

そして、よく寝て、起きて、吹きたかったら吹けばいい。
吹きたくなかったら、聞き役に回ればいい。
そのうちウズウズしてきたら、一気に爆発!!

最後、無理なら無理でもいいよ。
死にゃしねえから。

と!!

見ているこちらが感動してしまうような言葉だけど、正直、驚きました。
強豪校なのに、「無理なら無理でもいい」って言えるんだ?!

というか、顧問に今の気持ちを聞かれて、「吹きたくない」って言える関係性もすごいし、「よくぞ言ってくれた」と受け止める先生もすごい。

お互いに、信頼しているということですよね。
先生はIちゃんを信頼しているし、Iちゃんも先生を信頼している。

そして、「死にゃしねえから」ってたしかに。それが一番大事。

ゲストで、吹奏楽部出身の渡辺謙さんも、「(先生は)コンクールだけが人生じゃない」ってことを言いたいんじゃないかと推察していました。
音楽ってそんなことのためにやってるわけじゃない。

他の学校の生徒が、辞めたいと思うことばかりだったけど、高3まで続けられたのは「楽しかったから」だと言ったことにも共感していました。

世界のケン・ワタナベって、こういう人だったんだ…。
高校生の気持ちも、先生の気持ちも推し量れて、「楽しいから、やる」というシンプルなことを大事にできるから、色んな国で愛される仕事ができるのかな。

おソノさん、現る?

結局、Iちゃんは1週間ほど吹けなくなってしまい、万が一に備えて、RちゃんがIちゃんのパートを必死で練習する事態に。

それでも、都道府県大会の10日前に、「逃げたくなかった」とIちゃんは練習に参加。
きっと、ものすごい勇気を出したんだろうなあ…。

そして、迎えた本番。
ソリで、Iちゃんのトランペットが美しく響きます。

「あの子、飛んだわ」!!

その瞬間、私は、おソノさんの気持ちでした。

番組が始まって10数分で、気持ちはおソノさん。
映画『魔女の宅急便』の最後のところです。

そういえば、『魔女の宅急便』でも、キキは突然、空を飛べなくなってしまうのですよね。
しばらくお届けやさんを休業し、ウルスラの元でゆっくり過ごす時間を経て、事故に巻き込まれた友人・トンボを助けるために、デッキブラシで空を飛ぶ…。

「相棒」になった2人

あの時、久しぶりに飛べたキキの飛行が不安定だったように、都道府県大会でのIちゃんの演奏も、納得のいくものではなかったようで、申し訳なさそうにしていました。

それでも掴んだ全国大会への切符!!

全国大会での演奏は素晴らしく、演奏終了後には、Rちゃんが「これが、うちのI」と誇らしげに話し、「良い相棒です」と返すIちゃん。

どちらの方が上手いかどうかで、「序列」を作って、壁を作っていた2人が、「相棒」になった過程に涙涙です。

人は変わるし、人間関係も変わるんだなあ。

その変化が音に表れることにも感動。

結局、目指していた金賞には一歩及ばず、銀賞で悔し涙を流していたけど、それもまた「吹奏楽」なんだなと思いました。

番組に密着されていた3校とも、これ以上の演奏はできない!というぐらい満足感と達成感に溢れていたけど、どこも金賞はとれませんでした。

なんという世界…!!

それでも、全国大会や「金賞」という目指すものがあるからこそ!いろんな勇気を出すことができるのでしょうね。

はじめに、勇気を出したのはRちゃん。
Rちゃんの本音を聞いた先生も、「序列を作っているのは、あなた自身」と言うことは勇気がいったと思います。
そして、楽器が吹けなくなってしまったけど、勇気を出して合奏に参加することにしたIちゃん。

そもそも、ソリやソロのパートを演奏するって勇気がいるよなあ。

人は誰かの「勇気」に感動するのかな?

わからないけど、「吹奏楽の旅」はたしかに、感動しました。

ううう( ノД`)

要所要所で、先生がおっしゃっていた言葉は、アドラー心理学でいうところの「勇気づけ」だったように思います。

「よくぞ言ってくれた」と生徒の言葉を受けとめて、「無理なら無理でもいい」「死にゃしねえから」と。
生徒がどんな状況にあっても「ありのまま」を肯定してくれる言葉ですよね。

吹奏楽部での活動を通して、「信頼」と「共同体感覚」養っているんだなあと、「勇気の心理学」の実践を見せてもらった気がしました。

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