贈る言葉は、難しい。

贈る言葉は、難しい。

「暮れなずむ町の」から始まる歌といえば『贈る言葉』(海援隊)ですが、
では、「黄昏の街を背に」から始まる歌といえば?




イノセントワールド!

ぴんぽーん

Mr.Childrenの『innocent world』でした〜。
と、いきなりJPOPクイズ、すみません。

『贈る言葉』を聴くと『イノセントワールド』を思い出し、『イノセントワールド』を聴くと『贈る言葉』を思い出すのは私だけでしょうか・・・。

先日、実に4年ぶりに送別会という名の飲み会に参加しました。
娘の保育園時代からのお友達が、パパの転勤で福岡へお引越しされるのでお別れ会があったのです。

ママは福岡出身なので地元に帰るようなもの。
とはいえ、長くこの地域で子育てをしてきたので不安は大きいようです。
持ち家の人だから転勤族とは思わず、ずっとご近所で子どもたちの成長を見守れると思っていたので、転勤と聞いた時はショックでした。

あ〜寂しい〜。

送別会の帰り道、ずっと胸にあった違和感に気づきました。

私は「送る側」になったことがない。
送る側の作法を知らないのだ。

私は転勤族育ちだったので、いつも「送られる側」。
自分はいつも去る方で、見送る側ではありませんでした。

小学5年生の頃、同じ社宅に住んでいたお姉さんが結婚してその土地の人になりました。
お姉さんは高校時代に転校することになり、その経験がとても辛かったそう。
「私は絶対、転勤族とは結婚しない」とは聞いていたけど、こんなに早く決断するとは。
本当に、転勤のない人と結婚してしまいました。
この間まで学生だったお姉さんが、スパッと決めた(ように見えた)結婚が、私にはとても不思議なものに見えました。

そうか、その手があるのか。
結婚相手を自分で選んで、自分が望む人生を手に入れる。

身近な存在だったお姉さんの選択は、私もそっち側に行けることを教えてくれました。

転勤をしていると、その土地の人の匂いがわかるようになります。
いいなあ、どうやったらこの土地の人になれるんだろう?

私は2、3年後にはここにいない。
その土地の未来に自分が存在しないことは、気楽でもあり、つまらなくもありました。

時は経ち、高校受験も大学受験も失敗したことによる恐るべき引力によって吉祥寺で7年間を過ごし、都会のOLになるべく就職したのに練馬の事務センターに配属され、どうにも都心に縁がなかった私。
もう都心に行きたいなんて言わないよ絶対と思っていた頃、ご縁があって、吉祥寺勤務で転勤の無い男性と結婚して、今に至ります。

近所を歩いていると、マスク姿にも関わらず「Kちゃんのママー」「Kちゃんのおかーさーん」と、子どもたちに声をかけられます。
道端で泣いている子がいれば声をかけ、エントランスですれ違う子には「いってらっしゃい」「おかえりなさい」と声をかけ。

昔、私が不思議に思っていた「その土地の人」になっている実感があります。
私が一番なりたかった”おばちゃん”になれている。

けれども、その土地の人になると、その土地から去る人を見送る側になるんですね。
私の実感では、見送られるよりも見送る方が寂しいです。

去る方は、未知の世界へ心が向き、寂しがる暇もないほど必死。
不安もあるけど、期待もある。
でも、置いていかれる方は喪失感しか無いんですね。
初めて知りました。

これから、こんな春がやってくるのかな。
子どもの頃には知らなかった景色です。

暮れなずむ町の 光と影の中
去りゆくあなたへ 贈る言葉

贈る言葉は、もらうものだと思っていました。
贈る言葉が見つからず、マイブームの短歌をLINEしました。

たまたまの ご縁嬉しき 春の夜
たくましき子らを 祝う我らは

たまちゃんというお友達だったので、「たまたま」。笑

Kちゃんママ、やっぱり変。って言われてるかなあ。

贈る言葉は、難しいっす。

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