『古畑任三郎』が30周年だそうで、先週から再放送されていてハマっています。
はじめに聞いたときは、ふーんという感じで特に見たいとは思いませんでした。
古畑任三郎の初回って、たしか暗いんだよなあ。犯人役は・・・中森明菜?いや、大原麗子?
違う。大原麗子はビストロSMAPの初回ゲストだ。
スルーしていたのですが、テレビで放送されるや否や中森明菜の儚げな美しさと素晴らしい演技がニュースになっていてやっぱり気になる!と、TVerで見てしまったらすっかりハマったというわけです。
いや~、面白い。
子どもの頃にも見たけど、中森明菜の役がなんとも切なくて、自分に自信がないタイプの犯人は古畑の中では珍しいかも。
最後、部屋で泣いてきてもいいかしら?って出ていくところは本当に切ない・・・。そうだね、きれいなだけならいいけどちょっと悲しすぎるのよ涙は、ね。
この人、30年も経てば出所して今ごろ人生やり直してるかしらなんて思ってしまった。
30年前の日本が面白い!
何が面白いって、30年前の日本が面白いです。
私はまだ小学生だったので、30年前の大人の世界が新鮮!
20歳ぐらい年上の先輩が、妊娠中もタバコの煙モクモクの中で仕事していたとか、みんな不倫してたと言っていたけど、なるほどな~と思いました。
男女問わずいつでもどこでもタバコを吸っているし、みんな不倫している。
殺人の動機も色恋沙汰が多くて、リアリティが無くて面白い。
全体的にリアリティが無いところが古畑任三郎の世界ですよね。
犯人役のキャストも豪華だけど、犯人の設定も豪華。
情熱大陸に出てきそうなご職業ばかりで、社会的地位も高い。
社会的地位の高い人は不倫をしていて、傲慢で、それゆえに道を外してしまうパターンが多いです。
特に女性は、総じて気の強いキャラとして描かれています。気が強いというか、常になめられまいと虚勢を張っている感じでしょうか。
50歳と思われる”警部補”古畑任三郎を見下し、自分の方が圧倒的に若いくせに「あなた、何もわかってないのね」みたいな感じで上から諭すように話します。
「あのね、古畑さん」って感じ悪い。
その感じ悪い女を演じる女優さんたちのファッションもメイクも話し方も面白いのです。
特に、木の実ナナさんのアクの強さには感動しました!上沼恵美子がマイルドに思えますよ。
桃井かおりの桃井かおりっぷりも最高でした。猛ダッシュしてぶん殴りながら「痛い?」と聞く様子はサスペンスを超えて、もはや怪談?こええよう。桃井かおりだけは敵に回しちゃだめだよう。
新幹線には食堂車があるし、公衆電話は現役だし、FAXが重宝されているし、腕時計も大活躍。
30年前って何も無かったんだなあと思いました。いや、何もないというより、アイテムの機能がシンプルなだけか?電話は電話。時計は時計。それ以外の機能はない。
今はなんでもスマホ1つで済んでしまう・・・。
田村さんが素敵!
子どもの頃にはわからなかった、田村正和さんの品の良さに惚れ惚れしています。
リアリティのない世界を作れるのは田村さんのリアリティのなさゆえ、なんですね。
現代に復活させるなら、古畑役は稲垣吾郎がいいな〜。
50歳ぐらいで上品で浮世離れしている俳優さん・・・というと稲垣吾郎が思い浮かんでしまいます。
犯人が女性だったら、とびきり嫌な女が見たいです。最終回は安藤サクラを希望します!
嫌な女、最高!
最近は女優さんも「俳優」と呼ぶみたいだけど、古畑の犯人役は、女優!って感じがします。
久しぶりに嫌な女をたくさん見ました。思わず同情してしまうような悲しい背景は少なく、ひたすら身勝手。
「だってムカついたんだもん」みたいな感じでふてぶてしい。反省が似合わないし、たぶんしない。ファッションもメイクも強めで感じ悪い。
見ていて痛快です。こんなに嫌な感じで生きてていいんだって思いました。今は、テレビに出ている人も、ドラマの登場人物さえもいい子過ぎるのかもしれませんね。
悪い役だと冷徹な性格みたいに描かれがちですが、冷徹ばかりが嫌な女じゃないのよ~。
飾りじゃないのよ涙は~。
もっと嫌な感じをテレビで放送しても良いのになあ。
世の中からタバコの煙が無くなったからでしょうか。
煙モクモクの中で生き抜いてきた先輩方の所作を見ると、いかに自分がお膳立てされた環境で生きてきたのかと思ってしまいます。