「普通じゃなくてもいい」という魔法の言葉

「普通じゃなくてもいい」という魔法の言葉

皆さまは『消えた初恋』というドラマ、ご存じですか?

2021年秋に放送されていた深夜ドラマで、なにわ男子の道枝駿祐くん(みっちー)と我が愛しのSnowMan・目黒蓮くん(めめ)がW主演という、ジャニオタ以外誰が見るねんみたいなドラマなのですが、意外や意外。

全人類に見てほしい!と思うほど素晴らしいドラマだったんです。

「深夜・ジャニーズ・BL(ボーイズラブ)」と、とっつきにくい要素が満載なのですが、めちゃくちゃいい話でした。

ある日、高校2年生の青木(みっちー)は、片思いをしている橋下さんという女の子から消しゴムを借ります。
消しゴムには「イダくん♡」と書かれており、橋下さんはクラスメイトの井田(めめ)のことを好きなのだと知り、ショックを受けます。
そして、青木はその消しゴムを落としてしまい、あろうことか井田に拾われ、井田に「イダくん♡」を見られてしまいます。自分の名前に♡が書かれた井田はびっくり。
しかし、橋下さんの恋心を自分がバラすわけにはいかないと思った青木は、とっさに自分の消しゴムだと嘘をつき、井田は「青木は自分のことを好き」だと思い込む・・・というちょっとおバカなストーリーです。

青木は誤解を解こうとするうちに、いつの間にか本当に井田のことを好きになってしまいます。

視聴者、青木と一緒に井田にドキドキ。
めめ、かっこいい~。

青木はずっと女の子が好きだった。でも、今は井田のことが好き。

こんなの普通じゃないよな。
ああいうのが普通だよな。
自分だって可愛い女の子と青春するはずだったのに、なんでこんなことになった?

青木の戸惑いが、とても自然に描かれます。

イケメン教育実習生に警戒された時は「誰でもいいわけじゃない。俺は井田だから好きなんだ」と言います。

そう!そうなんだよ!井田だから好きなんだよ!

青木が「普通」と言う時の寂しそうな目に、見ている方は「普通なんて無いよ!」と言いたくなります。
そして、みんな同じだと気づくのです。

普通は毎日会社に行くべきだけど、行けない私は変だとか。
普通は子供がかわいいって思うはずだけど、かわいいと思えない私はおかしいとか。

「普通」になれない自分を責めて落ち込む青木の姿に、
「普通なんてない」「君は悪くない」「落ち込む必要はない」と言いたくなります。

青木の気持ちの動きに名前をつけるとしたら、「恋」以外にありません。
○○セクシャルとかLGBTとか「恋」の種類を見極めて、細かく分類することには何の意味もないなって思いました。

突然、同性である青木から好意を向けられた井田は、そもそも人を好きになったことが無いと言います。

“好き”ってなんだ?

井田はまっすぐに青木に問い、視聴者も考えます。

“好き”って、どういうことだろう?

これは、このドラマの根底にあるテーマでした。

紆余曲折を経て、井田は「好き」について自分なりの答えを見つけます。

ネタバレになるのですが、
最終回で井田は「お前を見てると、胸が苦しくなる」と、泣きそうな顔で青木に告白するのです。
それが「好き」という気持ちなのだと井田は気づきました。

最後、両想いであることを確認した2人は、あぐらをかいて学校のイルミネーションを眺めながら、たわいも無い話をし、お菓子の話からこんな会話になります。

井田 「普通じゃなくてもいいんじゃないか」?

青木 「うん、そうだな」。

ずっと”普通”に苦しんでいた青木が、「そうだな」と言えたことに感動。
青木と井田の恋物語であり、成長の物語でもありました。

視聴者は、青木と一緒に井田に恋をして、悩み、励まし「”普通”なんてない」「自分は自分」と心から思えるドラマなのです。

高校生を演じるみっちーとめめは、子役と動物に匹敵するかわいさで、つい優しい言葉を投げかけたくなります。
その優しい言葉を自分自身に対して言えたら、もっとラクに生きられるのかなあ~。

もしも、青木と井田のような高校生がいたら、彼らの未来が明るいものであって欲しいと願わずにいられません。
手を繋いで、日向の道を堂々と歩いて欲しい。
同性婚なんて当たり前だと思えます。

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