『カムカム』が終わらなくて

『カムカム』が終わらなくて

私の最近の悩みごとなんですが・・・
朝ドラ『カムカムエヴリバディ』(以下、『カムカム』)が最終回を迎えてから3週間以上経つのに、未だに『カムカム』の余韻に浸ってしまい、現在の朝ドラ『ちむどんどん』にちっともちむどんどんできないんです。

深津絵里さんの名人芸を数ヶ月に渡って毎日見てしまったため、目が肥えちゃって『ちむどんどん』出演者のお芝居がまったく心に響かない。
あきさみよーーー。

そもそも、貧しさから幼い主人公を東京の親戚に預けると言いながらあっさり中止したところから、なんだこのストーリーは。視聴者なめとんのか。こちとら、先々週まで『カムカム』見とったんじゃ!と、半年間、思いがけずブルーマウンテンを飲み続けてしまったために、いつものマイルドブレンドがまずく感じるという不幸を味わっています。

どないしてくれんねん!

もはや、どこに八つ当たりをすれば良いのかわかりません。

一度覚えてしまった美味は、そう簡単に忘れられませんね。

点々

『カムカム』は、出演者も脚本もすべてが別格!
超ド級の朝ドラだったのだと改めて実感しています。
ああ、なんて贅沢な日々を過ごしていたのでしょう。

HDDに溜めていた録画が消せず、容量が無くて困ってます。
いつもだったら次の朝ドラが始まったら消せるのに。

未だにおはぎを「おはぎゅう」と呼んでしまうし、冷凍の今川焼きを切らすこともありません。

我ながら、なかなかしつこい。

松村北斗くんに稔さんの面影を探すものの、ご本人に稔さん的な要素が無い上に、新ドラマの役柄はなんだかよくわからない飲食店勤務の男性(現代人)のため、探しても探しても稔さんが見つからない。
そんな嘆きがTwitterに溢れているそうです。

『カムカム』の影響で、NHKの英語会話を始めたママ友はテキストが売り切れていて驚いたと言っていました。
「みんな考えることは同じだね」だって。

どうやら、傑作すぎた朝ドラ『カムカム』の後遺症に悩んでいるのは私だけではないようです。

みなさん、やり場のない寂しさと情熱を抱えて『カムカム』の無い毎日を過ごす手立てを模索しているのでしょう。

わかるよ!私も、なかしましほさんのあんこの本を買いそうになったよ。
おいしゅうな〜れ、おいしゅうな〜れって、あんこ炊いて、おはぎゅう作りたい。
でも、今川焼きのレシピは載ってないみたいなのよー

点々

先日、自転車を漕ぎながらふと思ったことがあります。

るいがジョーと出会ったばかりの頃、ジョーの部屋でインスタントコーヒーを淹れて、ジョーが「サッチモちゃんの淹れたコーヒーは美味しいなあ」って飲んでいたけど、それから50年後ぐらいに、るいは喫茶店・ディッパーマウスブルースのマスターになってコーヒーを淹れるようになったんですよね。
「インスタントなんじゃから誰が入れても同じじゃろう」って、当時のるいは言っていたけど、インスタントであっても、るいは本当にコーヒーを淹れるのが上手だったのかもしれません。

最終回から3週間以上が経ってもなお、伏線らしきものを発見しては、綿密に練り上げられたストーリーに感嘆しております。

頑張らなくてもできることや、なんとなくできてしまったこと、たまたま出会った人や物事が、時を経て、大きく育ち、巡り巡って自分自身に還ってくる。
そして、それがたくさんの人に喜ばれ、大きな輪になって広がっていく・・・。

そんなエピソードがたくさん散りばめられていましたね。
100年の物語だからこそできた、俯瞰して見ることの面白さです。
袖振り合うも多生の縁。
瓢箪から駒。
人間万事塞翁が馬。

点々

3人目のヒロイン・ひなたが100年の物語を継承しなかった結末も好きです。
ひなたが結婚して女の子が産まれて、これからも物語は続いていくのだ~みたいな安直なストーリーにしないところが良い。

最終回まで結婚も出産もしなかったひなた。
そんな主人公は『オードリー』以来だそうですが、私は『オードリー』も好きでした。
そうそう、京都の撮影所の話だった!佐々木蔵之介が彗星の如く現れたのよね~~と懐かしく思い出しました。

結婚をせず、OLの制服に身を包んで30代を過ごすことは楽じゃなかったと思います。
ある意味、英語はひなたにとって逃げ道だったのかもしれません。
でも、ひなたには虚無蔵さんがいる。
こんなことをして何になるのか?自分はこのままで良いのか?と不安になる時に、虚無蔵さんはいつも現れます。

「日々鍛錬し、いつ来るともわからぬ機会に備えよ」。

そうして、英語の勉強を頑張るひなたをいつも肯定してくれるのです。
なんて心強い存在!

おなごは、さっさと結婚して子を産むのが一番だなんて野暮なことは言いません。
あの年代で、かつ、侍なのに、若い女性を一人の人間として見ることができる男性はそう多くはないでしょう。
虚無蔵さんは時代錯誤すぎる設定なのに、実は誰よりも先進的だったのかも。

ひなたは、最後にはハリウッドのキャスティングディレクターになったけど、昔から、映画村の大部屋俳優たちに心を寄せ、なんとかして彼らの力になりたいと奮闘していた経験が生かされているんですよね。
もちろん、虚無蔵さんから託された「時代劇を救う」という使命感も。

目の前に現れたもの、失ったもの、経験したことすべてに意味があるんだよ。
今はわからないかもしれないけど、その経験は自分自身を救ってくれるんだよ。と、教えられた気がします。

点々

私が最も感銘を受けたのは、2番目のヒロイン・るいです。

来る日も来る日も、回転焼きを焼いて家計を担うるい。

家族が大事。家族と過ごす時間が大事。
小さかった頃のるいと安子が、願っても手に入れられなかった「当たり前の生活」。

るいは、何が自分の幸せなのかをわかっている主人公でした。
そこがカッコイイ。
足るを知るヒロインだと思いました。

自分はどうしたいのか?何を選んでどうやって生きていくのか?というテーマは、アカデミー賞を受賞した話題の映画『ドライブマイカー』にも通じる気がします。

現代はやるべきことが多くて、情報が多くて、あれもこれもと気を取られているうちに、あっという間に迷子になって、簡単に自分を見失います。
だから、自分を見失わず、外野に何を言われようとも自分の幸せを大事にできるだけで、カッコイイ。

ジョーが、「トランペッターにはなれなかったけど、ひなたと桃太郎の良いお父さんになれた」と話すところも良かったなあ。
五十嵐に送った言葉もステキでした。
「これからいろんなことがあると思うけど、それが五十嵐くんの選んだ道やったら、きっとそれが五十嵐くんのひなたの道になる」。

自分で選んだ道が、君のひなたの道になる。

私はワーキングマザーを脱落し、主婦にもなれず、パートにもなれず、人間にも山犬にもなれぬもののけ姫になって、2年余り。
安定した職を手放した自分をずっと責めてきたけど、意外となんとかなっている。
それに、自分で選ぶとはどういうことなのかがようやくわかり始めました。

どんな功績を上げたヒロインよりも、回転焼き屋さんのるいが、私の憧れです。

点々

そして、平和がこんなにもろかったとは。
『カムカム』を見ていて、「戦争さえ無ければ」と何度も思いました。
安子のように、家族が好きで、おはぎが好きで、優しい女の子にどうしてこんな苦難が降りかかるのか。
けれど、それは遠い遠い過去のことではなく、現在も、世界には稔さんと安子がたくさんいるのですよね。。

演者が変わっても、見た目が変わっても、住む世界が変わっても、安子は安子のままだったところは救いでした。
三つ子の魂、百まで。

それにさー、たまに、るいが小しずさん(安子の母)に見える瞬間があるんだよ〜!もーすごいよね!
って、語り始めると止まりません。

困った困った。

十分に脳内再生できそうなので、そろそろ録画は消そうかなあ。
いざとなったら、DVD BOX購入という手もあるしな!

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