さよなら、アヤコとナオミ

さよなら、アヤコとナオミ

先日、私は娘(5歳)とともに東京・青山におりました。
めったに行かない街・青山。
目的は・・・
弟のお嫁さんのウェディングドレスの試着を見に行くこと。

ぎゃ!怖いお義姉さん?!小姑ってやつ?!

「弟の結婚式に口を出す姉」にだけはなるまいと心に決めていたのですが。

私は弟が2人おり、末の弟が結婚することになってお衣装を選んでいる最中なのです。
その話を聞いた娘は、おめめキラキラで「ドレスショップ、行きたい」!!

ママも行きたい!!

というわけで、好奇心旺盛ミーハー親子が同行。

いやあもう行ってよかったです。素晴らしかったです。
きれいなドレスって、見ているだけで幸せ。
毎日でも行きたい!
自分の結婚式は、色々めんどくさかったですが、他人(身内だけど)の結婚式は楽しいですね。

私は前述のとおり弟が2人いる姉で、子どもの頃から姉妹に憧れていました。

神戸の須磨に住んでいた小学生の頃、近所のインターナショナルスクールでやっていた英語教室に通っていたことがあります。
先生はいつも子連れで教えに来ていました。

お子さんは、私よりも少し年上のアヤコとナオミという姉妹。
ハーバーランドに住んでいるらしく、須磨とは違う都会的でクールな雰囲気。いつも上品なワンピースを着ていました。
英語の先生であるお母様も含めて、素敵〜!
私の憧れの存在でした。

娘が産まれて、私はアヤコとナオミのことを思い出しました。
私、もう1人女の子を産んだらアヤコとナオミの母になれるかも?!
自分に姉妹はいないけど、これから姉妹の母にはなれるかもしれない。

心にポッと沸き出たこの希望は、やがて執着に変わりました。

アヤコとナオミみたいに年の近い姉妹が欲しかったのに、2人目は全然授からない。
5歳違いでようやく授かった子が男の子だと判明した時は落胆しました。

「妊娠 男の子 がっかり」で検索すると、出てくる出てくる私みたいな(勝手な)妊婦がたくさん!
検診のたびに性別が変わっていることを願いました。
男の子の場合、後で性別が変わることはないんですけどね。

出産が近づいても新生児のグッズを買い揃える気になれない。
どうせ男の子だし。
無遠慮に表示されるFacebookの広告は女の子の可愛いベビー服がいっぱい。
悲しくて、本当に泣きました。

しかし、そんなことでは出産は乗り越えられない。
私は前回、41週5日で、27時間半かかって娘を出産しました。
まじで死ぬかと思った。

娘だろうと息子だろうとそんなの関係ねえ。
母子ともに健康で、無事に出産しなくては。

私は息子を産む力を愛読書に求めました。
『三島由紀夫レター教室』の中に、『出産の通知』という手紙があるのです。

 先生。子どもって、何てふしぎなものでしょう。この世に生命を生み出す女って、何てふしぎなものでしょう。世の中でいちばん平凡なことが、いちばん奇跡的なのだということが、子供を生んでみると、はじめてしみじみとわかりますのね。
 そして、「男の子さんですよ」と笑顔で告げられたとたん、それまでの生みの苦しみをきれいさっぱり忘れてしまえるなんて、女って、何てC調なんでしょう。
 (中略)
 「何だ。おふくろ、あわてるな。おれに任せとけ。おれはちゃんとこのとおり元気に生まれてやったぞ」と言わんばかりです。
 こちらが手をついて、お礼を言わなければならないような感じですが、その威張った「彼」が、授乳となると、無我夢中で、こちらの胸にむしゃぶりついてくるのですから、それこそ、かわいくて、かわいくて、かわいくて(これを百ぺんくりかえし)、たまりません。 

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この手紙を毎日読んでいるうちに、出産が楽しみになってきました。
三島由紀夫の言葉には不思議な力があり、背筋が伸びます。

そして、無事に息子を出産して驚きました。
娘の時とは異なるホルモンが分泌されている気がする。
もう、なんか、とにかくかわいい。
息子、理屈抜きに、想像以上に、可愛いぞ。

もう冬彦さんを笑えない。マザコン、上等。
ここだけの話、「私のKing & Prince〜〜♡」と言って息子を舐め回しています。
私にとってはキングでありプリンス。かつ、キンプリ級の可愛さ。

それでもやはり、女の子が良かったなあと思うこともあります。
長年、心の中で育ててしまった執着は簡単には消えませんでした。

でもさ、冷静に考えたら、私は都会的でクールじゃないし英語も話せないし、アヤコとナオミの母にはなれない。
そもそもキャラが違った。自分で勝手に作り上げた幻想に囚われていたのだと気づきました。

それに、女の子のママよりも男の子のママの方が性に合っていたようです。
男の子を産んで、ようやく自分になれたという気さえしています。
まったく勝手な話でお恥ずかしい。

保育園や街中で可愛い姉妹を見かけても凹まなくなった頃、私に妹がやってきました。
弟のお嫁さん・Rちゃんという義理の妹が!!

そうか、そういうこともあるのか。
夫は一人っ子、真ん中の弟は未婚なので、その可能性をすっかり忘れていました。
(というか、弟たちに何かを期待するという思考回路がなかった)!


Rちゃんは、とってもいい子。
まだお互いに遠慮があるけど、つかず離れず程よく仲良くして頂きたい所存。

Rちゃん よろしくね。

さよなら アヤコとナオミ。

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