お母さんは、しくじり先生。

お母さんは、しくじり先生。

私は、昨年2020年4月に15年勤めた金融機関のOLを辞めて、人生初の無職を味わっています。
退職の理由を的確に表す言葉が見つからないまま1年が経ちました。

生活のことを考えれば辞めるべきではなかったのですが、自分に「空白の期間」を与えたら何を考え、何を選ぶのかを知りたかった。
服もメガネも髪型も「会社で浮かない・笑われない」ことを第一に選ぶことに慣れきってしまい、「何が君の幸せ?何をして喜ぶ?わからないまま終わる?そんなのは嫌だ!」というアンパンマンの主題歌を聴くたびに暗くなる日々…。

夫の収入が少ないから働かなければいけない。
私は本当は専業主婦タイプなのに、経済状況がそれを許さない。
私は会社員に向いていない。毎日毎日僕らは鉄板の上で焼かれて嫌になっちまうよ。
ルーティンの私の業務なんて、お上にやってますよアピールするだけの事務作業で意味はない。
どうせなら意味のある仕事がしたい。
そもそも子どもを産むまでに、自分が無理なく楽しくできる仕事を作っておくべきだった。
ああ因果応報。自業自得。女性が一生困らない”手に職”系の仕事に就いて、個人事業主でマイペースにやれたらよかったなあ。

と、支離滅裂なことを在職中は考えていたのですが、退職したら全然違ってました。

私は働くことが好きだし、たぶん、会社員に向いている。
組織の一員として動くことが好きだし、個人事業主として立つ度量は無い。
やりがいなんてまやかしだと思っていたけど、誰かの役に立てるって嬉しいことだよ。
意味のない、役に立たない仕事はこの世に一つもありません。
経済状況によって働かされていると思っていたけど、一番向いていないのは専業主婦。
私は家事も育児も適当にやりたい派。家事・育児から逃げる口実を仕事に求めていた。
税金納めるから許してくれ。

今まで辛くてやらされていると思っていた仕事は、実は自分が望んでやっていたということに気づきました。
時間があれば、もっと掃除も料理もするし、子どもと遊ぶのに!と思っていたけど、時間があっても、一汁一菜で精一杯。子どもが一人でYouTubeを観てる時間はホッとします。

いやはや、色々としくじっております。我ながら。
もともと娘に願うことが「私みたいになってほしくない」ということで、私はその状況が嫌でした。
「私みたいにならないで」というメッセージを発し続けるお母さんに育てられる娘が可哀想。
しくじり先生 俺みたいになるな!!』という番組、見たことありますか?あれですよ。
現在進行形でしくじっているので、私はまだ出演できませんが。

会社の気質が合わないことに一年目で気づいていたのに、転職をする勇気も気力もなく、置かれた場所で咲くことを選びました。
給料はガマン料。楽しい仕事なんて無い!とわきまえつつ、15年間、あの手この手で仕事を楽しもう好かれようと努力してきました。
が、結局、両想いにはなれませんでした。
追いかければ逃げられ、言い寄ってきたくせにフラれる?でも、楽しい仕事も仕事を楽しむことも、次こそは!と今(2021年)は思っています。

私は今、デジタルハリウッドでWEBデザインの勉強をしています。
「必要な時に必要なものが目の前に現れる」という説を妄信しており、自宅近くにデジハリができたので「お茶碗作ってみた~い」と陶芸教室に入るノリで「Webサイト作ってみた〜い」と1年半前に入学してしまいました。(費用は高額でしたが)。

フルタイム会社員、家事・育児、他の資格試験受験、デジハリ通学という4足のわらじを履いていた入学当時は、明らかに末期症状でした。
何かが足りず、何かが過剰。
しかし、WEBの世界を知ることはとても面白く、新しい世界の扉が開くワクワク感を味わっていました。

ある日、子どもを実家に預けてデジハリでお勉強した後、駅の階段を駆け上がると息切れがしました。
おかしいな?生理が来たのにすぐに終わり、これは病気に違いないと思ったら妊娠していました。
約5年ぶり。なぜ今!?

2人目を望んでいたけれど授からず、夫ともうまくいかなくなり、不妊治療を検討して色々な病院で話を聞いていくうちに、不妊の原因は自分の心の状態にあるような気がしていました。
それが当たっていたのか?新しい世界にワクワクしていたら、妊娠。
なんだよー、あと半年でいいから早く来てよ。お母さん、会社辞めるんだけど?と、退職を撤回して育児休業を取得することも考えましたが、結局、辞めました。
損得勘定でがんじがらめだった私は、2人目のせいで会社を辞められなかったと言い出す未来が容易に想像できて、恐ろしかったのです。

その後、つわりで休学しているうちに、コロナ禍で休校…と、出産前に卒業するはずができず、そのまま休学(ほぼリタイア)していたのですが、今月ついに重い腰を上げて復学することにしました。

目の前に現れたからという理由で気軽に登り始めたWebサイト制作という山は、実はとんでもなくデカくて険しい山でして。
若者が軽装でスイスイ登っていくのに世間知らずなオバチャンは、子どもを背負ってロングスカートで登り始めてしまいました。
大・後・悔!

WEB業界の人たちは若くてインストラクターの重鎮がギリギリ同い年。ほぼみんな年下。
言われたことが一発で理解できず、オンライン授業を止めてしまい、20代半ばの先生にため息をつかれる。オンラインで聞こえるため息。笑。
もういいから私に構わず先に行ってくれ…と思いながら、皆を待たせるオバチャン。
一度、リタイアしたあの山に、再挑戦することにしました。

もう山登りは諦めて、近所でパートを探そうかしら…と思ったりもしましたが、せっかく手に入れた”お暇”。
こうなりゃトコトン!世間勉強!職業訓練!ああ、貯金の残高が怖い。

登り切れる自信がなくて、早くもメソメソしていますが、登っていくうちに、今まで鍛えたことがなかった部位に筋肉が付いてマッチョになれるかも。

子どもがいると、なかなか自分にお金も時間もかけられないと思います。
私もお暇なんてやってる場合ではないんです。少しでも、教育資金を貯めなければ。
小学校受験するお友達の話を聞くと、何もさせてあげられない我が子に申し訳ない気持ちになります。

けれども私は子持ちの今、新しいことを勉強して良かったとも思ってます。
自分ができないことを子どもにやらせるのではなく、自分がやってみたらめちゃくちゃしんどかった。
やらなきゃいけないのにテレビ見ちゃう気持ち、課題が終わらない絶望感、先生に質問するドキドキ感、隣に座る子いい子かな?誰でも最初は一年生だって、思い出しました。

重い腰を上げたものの、メソメソ、グズグズしている今の気持ちを綴ってみました。

しくじっても何しても「今だから書けること」を意識するだけで前を向けるものですね。

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