立って半畳、寝て一畳 ~1LDKが私を鍛えてくれた~

立って半畳、寝て一畳 ~1LDKが私を鍛えてくれた~

結婚前に、”とりあえず”で住み始めた1LDKのアパートに住み続けること7年弱。
長女の小学校入学を控え、そろそろ引っ越したいなあとベタな願望を抱いていたところ、近所にまあまあいい感じの賃貸物件が出たので引っ越すことになりました。

入居当初は1度も更新するつもりが無かったにもかかわらず、子どもが産まれ、近所の保育園に入園したり、私が会社を辞めたりするうちに身動きが取れなくなって、あれよあれよと3回も更新してしまいました。

積水ハウスの賃貸住宅・シャーメゾンなので、「家に帰れば、セキスイハウス」。
あの街に~ あの家に~ こころ~は帰る~♪
一戸建ての一階部分に居住しているような感覚で、破格の家賃にウォシュレット、追い炊き機能、浴室乾燥機、防犯シャッター、防犯カメラ、Wi-Fi、エアコン、宅配ボックス・・・と、賃貸としてはかなり優良のラッキー物件だったと思っています。(次の家にはほとんど付いてないです。)

「23区の軽井沢や~」と私が勝手に呼んでいるS公園まで徒歩2分。
朝、窓を開けると自然豊かな香りがします。

高さ2mのイケアの家具が余裕で置けるほど天井が高く、1LDKとしては広めだったのか?
1階なので、勝手に玄関ドアの横に自転車を止めておいたり、ベビーカーで寝てしまった子どもをそのまま玄関の内側に放置したり。
台所から部屋中が見渡せて、小さな子どもがいる状況ではとても暮らしやすかったです。

日当たりが最高で、ステイホームの期間はこの家で本当に良かったと思いました。

見た目はなんてことのないアパートなのですが、私はとても気に入っていました。

しかし、そこはやはり1LDK。
モノとの付き合い方は、徹底的に鍛えられました。

コロナ前は、友人や会社の同僚が遊びに来てくれましたが、皆一様に「よく暮らせてるね!」と褒めて?くれました。

そうなんです。
我が家は狭いところにファミリーで暮らしている割には、モノが少なくて広々しているように”見える”のです。
我ながら知恵と工夫の賜物!何も考えずに暮らしていたら、たちまちモノで溢れて決壊します。

特に、子どものオモチャは無限増殖。
通信教材を取ったら毎月定期的にオモチャが送られてくるし、ファストフードやファミレスに行くだけでオモチャが付いてきます。
あれが欲しい、これ買って!そして、いつの間にか家にある…。

Emiさんや本多さおりさんの本に助けを求めていた時期もありましたが、根本的に片付けや整理整頓が苦手。
だって私、射手座のO型だもーん。(ドヤ)

仕切っても決壊するし、箱を小分けにしてラベルを貼ってもいつの間にか空の箱とギッチギチの箱ができている…。

というわけで、自分にできることは「モノを増やさないこと」のみであるという結論に達しました。

置くスペースが無いからトースターは持たないし、モコモコのダウンは場所を取るから、コートはキルティングにしました。
もちろん、ベッドではなく敷布団派です。

新婚時代、お互いの荷物とわずかな家具を持ち寄って暮らし始めて3カ月ほど経ったころ、帰宅した夫から『服を買うなら、捨てなさい』(地曳いく子著)を手渡されました。

言わずと知れたベストセラーで、私にとってもバイブル的な本ですが当時はまったく知りませんでした。
(それもそのはず、今見たら初版本でした。)

夫は、会社帰りに通りかかったブックファーストで、そのタイトルを見て思わずジャケ買いしてしまったのでしょう。
「こんなに服もバッグも要らんやろ!どんだけ持ってんねん!」と、ごく普通の結婚をしてみたら、奥さまは物欲モンスターだったのです~と苦悩するダーリンを想像すると同情したくなりますが、当時の私は憤慨。
「捨てたら新しい服買ってくれるの?買われへんやん!」と、お門違いなケンカに発展。

問題はモノの量ではなく器!
もっと広いところに住みたいよう。
好きでこんなところに住んでるんじゃない!

そうなんです。私は、当初、不満タラタラで住んでいました。
もっと広いところ、もっと便利なところ、もっとかっこいいところ…欲を言えばキリがありません。

それが、いつから、こんなお気に入りの家になったのでしょう。

新婚時期が終わり、長女が産まれた後も、まだ不満でした。
そんな時、たまたま知り合った方に 「1LDKで暮らせたら、どこででも生きていけるわよ」 と言われました。
その方はシングルマザーで、1LDKのアパートで3人のお子さんを立派に育て上げた強者。
住まいについて愚痴る私に「あら、家なんて1LDKもあれば十分よ」。

そ、そうか?そうなのか?

私は、その気になると「こうなりゃトコトン!毒を食らわば皿まで!」と火が付くタイプ。
だって私、 射手座のO型だもーん。(ドヤ)

当時、育児休業中だった私は何をするにも自信がありませんでした。
もしかしたら、産後のホルモンバランスの影響もあったのかもしれません。
とにかく、生きていく自信がないという気分でした。
そんな中で「 1LDKで暮らせたら、どこででも生きていけるわよ」という言葉に、一つの解決策を見つけたような気がしました。

そこから、いかにして暮らしていくか?を前向きに考えるようになった気がします。

そのうちに、私は『あえて選んだせまい家』(加藤郷子著)をジャケ買いしました。


我が家は”あえて”選んだわけじゃなくて、”やむにやまれず”せまい家だけどね~などと自虐しながらも、ハッとする言葉にいくつも出会いました。

家族全員がいっしょに暮らせる時期は長くない。
合宿感覚を楽しみながら、小さい暮らしを満喫中。

狭い家で豊かな暮らしをする人たちは、
みなさん、自分たち家族が大切にしたいことの優先順位がよく分かっています。
だから、狭いことを前向きな選択肢として捉えられるのです。
だから、狭いことのプラスの側面に目を向けられるのです。

狭いことのマイナスの側面ばかりを見ながら暮らすよりも
本当に狭いにしても、それほど狭くないにしても、
「うちには、こんなにいいことがいっぱい!」と考えると
暮らしはぐっと楽しくなるし、工夫も生まれてくる。
そして、暮らしはどんどん心から豊かになる。

「あとがき」より

もう一つ、『暮らしのおへそ』Vol.31にも、たまに読み返したくなる好きなインタビューがあります。

(2DKの賃貸マンションの暮らしについて)
狭くて古いけれど、日当たりも風通しもいいし、欲張らずにここで、スッキリ穏やかに暮らせればいいなと思っています。
私はあれもこれもと欲張ると迷いやすいので、できるだけシンプルに生活できればいいかなと思って。

『暮らしのおへそ』Vol.31 藁谷恭子さんインタビュー

わかる~~!と、藁谷さんにお会いしたことはありませんが、『美しきワガママン』で拝読したときから共感するところがありました。

禅でいうところの「知足」でしょうか?足るを知る。
1LDKという器を与えられ、知足を徹底的に鍛えられた気がします。

次の家は、間取りこそ3LDKですが広くはないです。
暮らしやすいのか暮らしにくいのか見当もつきませんが、知恵と工夫次第ですね。

素敵な言葉に支えられた試行錯誤の1LDK生活が終わります。
知恵と工夫の大部分は「今を大事に」とか「足るを知る」という禅的なマインドだった気がします。
かのスティーブ・ジョブズさんも禅に傾倒されていたそうですし、行き着く先は禅なのかも?

いつか、何かが大当たりして、8LLDDKKみたいなマンションや、本当の積水ハウス(CМみたいな一戸建て)に住んじゃう未来があるかもしれないし、ないかもしれないけど、結婚生活のはじめに鍛えられた知足の精神を忘れないようにしようと思います。

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